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2023年8月13日

タバコについて


この写真は、学会で訪れたオーストラリアのお店で撮ったものです。とてもおぞましい写真と共にその危険性を強調されながら売られていました。

 

南米の先住民がトウモロコシなどの葉でたばこを巻いて喫煙していたのが紙巻たばこのルーツといわれています。南米に渡った欧州人の間で紙で巻いて喫煙する方法が広まり、欧州各地に伝わりました。

そのタバコは、人体にとって有害なものであることは皆さんもよく知っておられると思います。

 

現在、全世界で年間500万人、わが国でも11万人以上が喫煙関連の病気で死亡しています。喫煙者は非喫煙者にくらべ、男性では4.5倍、女性では2.3倍、肺がんで死亡するリスクが高くなります。また男性の場合、喉頭がんで死亡するリスクが32.5倍という結果が出ています。ほかにも食道がん、膀胱がんなど、いろいろながんになりやすくなります。(喫煙でリスクが明らかに高まる病気:肺がん、舌癌、咽頭喉頭がんなどの口やのどのがん、食道がん、膀胱がん)

 

人は加齢とともに肺の働きが低下しますが、喫煙者ではそれがより急速になります。喫煙者はいつもセキ払いをし、慢性気管支炎といわれる状態にあります。慢性閉塞性肺疾患 (肺気腫、COPD)を合併すると肺機能はさらに低下し 、階段を登ったり急ぎ足で歩くだけでも息切れを感じるようになります。

 

動脈硬化が進行するため動脈がつまりやすくなり、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)、脳梗塞など重大な病気になります。また胃や十二指腸潰瘍、歯周病になりやすく、妊娠中に喫煙すると流産、早産、新生児死亡などの確率が高くなります。

 

ここ最近は、低タール低ニコチンのタバコ、アイコスを中心とした加熱式タバコ、電子たばこが流行ってきています。タバコの箱に表示してあるタールやニコチンは、タバコ1本に含まれる量ではないことに注意が必要です。各銘柄の包装に表示されたタール・ニコチン量は、ある一定の条件下で機械が吸引した煙を分析した値です。実際にタバコ1本に含まれるニコチン量は6~7mgもあり、喫煙で約1~3mgが吸収されるという報告があります。実際に吸う時は機械と違う吸い方をするので、表示通りにはいきません。

 

加熱式タバコもニコチン、タールが含まれており、有害物質を吸引していることに変わりはありません。電子たばこはニコチン、タールを含まないものもありますが、別の有害物質が含まれていることが分かっています。

先日、ホームセンターでふと自動販売機を見付けました。1箱600円。

1ヵ月で18,000円、1年間で216,000円。病気が増えると、その通院費、治療費などがさらにかかります。こんな大きな額、是非とも別のことに使って頂きたいと思います。

私の父(理事長)も若い時にタバコを吸っていました。知り合いに「禁煙なんて、絶対に無理やろうねー」と言われて、その方を見返してやると意地になって止めるように頑張ったそうです。

 

禁煙外来は当院ではやってませんが、禁煙のコツなどを一緒に模索していきましょう。



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