2023年5月7日
本日は睡眠時無呼吸症候群について、お話します。
・睡眠時無呼吸症候群とは、主に睡眠中に空気の通り道である“上気道”が狭くなることによって無呼吸状態(10秒以上呼吸が止まること)と大きないびきを繰り返す病気のことです。
・睡眠時無呼吸症候群を発症すると睡眠が浅くなりがちになり、日中の眠気や起床時の頭痛などを引き起こします。また、症状が長期間にわたると日中の倦怠感や集中力や注意力が散漫となり、居眠りなどによって思わぬ事故を起こしやすくなるとされています。
・成人の睡眠時無呼吸症候群では、高血圧や脳卒中、心筋梗塞が起こる危険性が通常より3~4倍も上昇することが分かっています。特に1時間の睡眠中に無呼吸または低呼吸が30回以上ある“重症”タイプでは、心臓や脳の病気になる危険性が5倍にもなることが明らかになっています。
・主な原因は肥満による喉周りの脂肪ですが、顎が小さい、舌が大きい、扁桃が大きいといった生まれつきの身体的特徴や慢性的な鼻炎など耳鼻科領域の病気が原因となることもあります。
・睡眠の質や睡眠中の呼吸の状態を調べるのに、睡眠ポリグラフという検査があります。自宅で実施可能な簡易的な検査と入院が必要な精密検査があり、一般的には簡易検査を行って睡眠時無呼吸症候群の疑いが強い場合に精密検査が行われます。
・簡易検査は、携帯用の医療機器を用いていびきの状態や空気の流れを感知するセンサーを鼻の下に、血液中の酸素濃度を測る機器を指に装着した状態で眠り、睡眠中の呼吸状態や上気道の狭窄の有無を評価する検査です。
・睡眠時無呼吸症候群は“単なるいびき”と軽く考えられがちですが、重度な合併症を引き起こすこともあるため、できるだけ早く原因となる肥満の改善や治療を行うことが必要です。もし気になる点があれば、遠慮なくご相談下さい。