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2023年7月2日

高血圧について


高血圧症とは、診察室の収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg以上、また自宅で測定した家庭血圧において135mmHg/85mmHg以上の状態のことをいいます。

市民健診や企業健診などで指摘されることがあります。多くの場合で自覚症状はありませんが、人により頭痛やめまいなどの症状がみられることがあります。

 

高血圧では、合併症の予防をすることが非常に大切です。高血圧が持続すると動脈硬化が引き起こされます。この動脈硬化が進行すると脳、心臓、腎臓、眼などのさまざまな臓器に障害が起こり、脳卒中や心筋梗塞といった重篤な病気の発症のリスクが高まります。眼の場合には視力低下、失明のリスクがあり、また血管内膜の破綻による胸部や脳の動脈瘤を合併するリスクも高まります。

 

高血圧は多くの場合、日常生活の乱れが原因となるため、生活スタイルの是正をすることが大切です。適度な運動や塩分を控えた食事、禁煙、適正体重の維持などで改善が見込めることが多くあります。降圧剤などの内服治療を受けておられた患者さんが生活習慣の改善により薬が要らなくなったケースもあります。

 

日本人の高血圧の原因で一番多いのは塩分の取りすぎといわれています。そのため、高血圧の予防には食塩摂取量を減らすことが重要です。1日の食塩摂取量を成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満にすることを目標としています。

 

具体的には食事の味付けを薄味にする、漬物や加工食品、ラーメンの汁は残すなど、塩分が多い食品や外食を控えるなどが挙げられます。また、カリウムは腎臓から食塩を体外に排出するはたらきが知られており、カリウムを豊富に含む野菜や果物の摂取は高血圧の予防につながります。腎臓の機能が低下している場合は、カリウム摂取により血液中のカリウム濃度が上昇しやすいため注意が必要です。

そのほかに高血圧の原因となる生活習慣として肥満、運動不足、アルコール、喫煙などがあります。これらの生活習慣は、高血圧以外にも糖尿病や脂質異常症など動脈硬化を引き起こす病気の原因にもなるため注意が必要です。

 

こうした生活スタイルの調整を行っても血圧が改善しない場合には、降圧剤を用いた血圧の管理が行われます。降圧剤には、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンギオテンシン受容体拮抗薬(ARB)、カルシウム拮抗薬、利尿剤などがあります。

 

なお、年齢や糖尿病などの合併症により降圧の目標血圧は異なります。

 

血圧測定器に関しては、様々な機器が市販されています。今は製品によるばらつきも少なくなってきており、手首、肘で測るタイプにそれほど差はなくなってきています。お風呂上りに体重を測るのと同じように、是非血圧を自身で測ってみて下さい。

 

高血圧は無症状で経過することが多いために放置されがちですが、合併症を予防するためにも早期から意識し治療を行うことが重要です。

 

次回は、「禁煙の重要性:タバコの怖さの再認識」についてを予定しています。

 



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